染、色 感想 6/30追記

先日、正門良規くんが主演を務める舞台「染、色」を観劇してきました。

色々と感じたことを共有したくなったのでここに書き留めます。


原作「傘をもたない蟻たちは」の「染色」も読みました。加藤シゲアキくんの言葉通り、染色であり染色でない、舞台「染、色」でした。

原作もすごく好きなんです。ただ、舞台化することでより具現化でき、内容の違いを楽しむこともできました。

この作品に出会えたことを心より嬉しく思います。

※私の見落としや解釈違いもあると思います。ネタバレが嫌な方もいらっしゃるかと思いますので、興味のある方だけ読み進めてください。


【あらすじ】

美大4年生の深馬は両親や友人、恋人、先生から期待されるものの、自分の描く絵に納得がいかなかった。

ある日、深馬が壁に描いたグラフィティに何か描き足されていることに気づき……。


【印象に残った点】

・深馬の笑い

所々に深馬が笑うシーンがありますが、それは楽しくて笑っているシーン、狂ったように笑うシーンと同じ笑いでも異なるものでした。

正直、こんなに笑いのシーンでゾクゾクするとは思いませんでした。

どうしてこの人は笑っていられるのだろう。心の中はものすごく恐ろしいことを考えたいるのではないか。もしかして泣けないのだろうか。

色々思いを巡らせましたが、彼は最終的に泣きます。子供のように泣く彼を見て、やっと泣けたのかなとどこか安心しました。

とにかく、深馬の笑いは私の中で消えていません。それぐらい、心に残る内容でした。


・電話のシーン

舞台中に何度か深馬が電話をかけるシーンがありますが、ほぼ一人芝居でした。真未がスマホ片手に話しながら深馬の元に来るシーン以外は深馬の表情と声で判断するしかありません。

お母さんと話すシーン、原田と話すシーン、真未にかけても繋がらないシーン。杏奈と話すシーン。

コール音も、相手の声も聞こえなかったのは私たちに想像させるためだったのでしょうか。

ある意味、電話を使って深馬の心模様を見た気がしました。

特に最後に杏奈に電話をかけて話すシーンは印象的で。

原作も読んでいましたし、レポで内容もがっつり知っていましたが、それでも悲しくなりました。

泣きそうな声で「今から会えないかな?」なんて。私が原作を読んだ時の解釈では、主人公の市村は冷静に「今から会えないかな?」と伝えたと思っていました。思い違いでしたかね。

でも泣きそうな深馬に悲しくなって苦しくなった私がいたので、色んな解釈や意見があるのかもしれません。

杏奈も1人で電話するシーンがありましたね。杏奈の声色もすごく良かったなあ。

不安そうな自信がなさそうな雰囲気を作られていました。


・深馬と真未のリンクする台詞

「何だってありだよ、面白ければ」

「ちょっとイタズラしたくなって、つい」

この2人、結局同じ人なので台詞がリンクするのはまあ当たり前なんですけど、ハッとさせられました。

深馬が誰かに言ったことが真未を通して自分に返ってくる。

もしかしてずっと誰かに言われたかったんですかね。イタズラについてはそれをきっかけに絵を辞められると本能的に感じていたのでしょうか。本人は否定していましたけどね。


【まだ謎なこと】

・どこまでが現実でどこまでが幻想なのか

真未はそもそも存在していなくて、全て深馬の行動でした。キスや、身体を重ねたことも。

ただ、北見と殴り合ったシーンは現実なのか、滝川先生の「お前も俺と一緒だろ」と言ったのは幻想なのか現実なのか。

病院のシーンは現実と幻想の狭間なんでしょうが入り組んでるところがいっぱいありました。

むしろ完全に現実の部分って最初と最後だけ?


・卒業を祝って飲んでた時の北見か原田の発言

どちらが言ったのか思い出せないのですが、深馬が絵を壊している映像を見て深馬が驚いていた時、「やっぱり……」か「まだ……」って言ったと思うんです。

これは、何? 熱中症の後遺症か何かだと思われていたのでしょうか。

それとも、実は深馬が別の人格とゴタゴタしていたことを2人かどちらかは知っていた?

そして現実と幻想の区別がつかない深馬を憐んでいた?

真実は分からないですが、未だに謎です。


【観劇して思った正門くんへの思いと加藤シゲアキくんへの感謝】

改めて、観ることができて良かったです。正門くんが益々好きになりましたし、演技の仕事をたくさんしてほしいと思いました。

すごく考えさせられる舞台で主演を務めた彼を心から誇りに思います。


加藤シゲアキくん、素敵な作品をありがとうございます。誤読の自由が私たちにはあるかと思いますが、原作や舞台深いところまで知りたいです。


きっと世代によって感じ方が異なるはずです。色んな意見、考察を見たいので、色んな人の感想ツイートやブログを読み漁っています。

まだまだ気づいていないところがたくさんある。もっと知りたいのです。


最後に。今回の舞台に出られていた役者さんたちやスタッフさんたちと正門くんがまた共演していただけますように。


長文および乱文失礼致しました!

染色も染、色も大好きです。


6/17追記

肝心なこと書いていなかったです。

白いワンピースを着た真未と桜に対する解釈は色々あるかと思いますが、私は「深馬の未来」だと思いました。深馬は春にも咲ける桜だと思います。長い冬を乗り越えて、春に咲くんだろうなと感じました。

真未が白いワンピースを着ていたのは真未を深馬の色にしたのかなと。真未と会うことはもう恐らくないけれども、真未という人格から学べたことを生かしていくのかなと勝手に解釈しました。根拠はありませんし、私がそう思いたいだけなのかもしれません。

深馬がこの後どんな人生を送るのか、気になるところですね。


染、色配信してください。


6/20追記

昨日2回目を観劇してきて気づいた点などをまとめます。


・まず先日書いた「卒業を祝って飲んでた時の北見か原田の発言」ですが、北見と原田両方話してましたね。

北見「やっぱりだめなんだな」(ニュアンス)

原田「ああ……」

この発言って結局何を意味してるのは明かされてませんが、やっぱり熱中症の後遺症だと思われてるんですかね?


・あと先日観た時よりも間の取り方が変わっていました。

深馬「あのさ、杏奈。今から、会えないかな?」

↑句読点の部分の溜めがすごかったです。


杏奈「好きだよ……私は」

↑同じく溜めがすごくてより深みが出てました。

演出の仕方を公演中に変えてくるのはジャニーズの舞台やコンサートではよくある話ですが、外部の舞台でもやるんですね。

キャストの皆さんの力がすごい……。


・深馬が真未の人格を呼び起こしたきっかけ

杏奈が絵にぶつかって深馬が絵を支えた時に腕に絵の具がついたと思うんですね。

その後高笑いするじゃないですか。腕に絵の具がついたことで、スプレーを腕にかける真未が出てきたのかな、と。

それから展覧会の絵を描き足すシーンに繋がるのかな、と思いました。


染、色の東京公演は千秋楽を迎えました。おめでとうございます。

大阪公演も頑張ってください。


あと染、色について多くの人と語り合いたいんですが、コロナ明けたら飲みながら話しませんか?


6/30追記

千穐楽おめでとうございます。そして配信決定とても嬉しいです。

配信では表情をよく見たいと思います。


あと私が気になっていた最後の居酒屋のシーンに対して色々な考察を拝読しました。

染、色に携わっている人しか答えは知らないのでしょうが、やっぱり私は見落としが多いですね。